季語/残菊(ざんぎく)を使った俳句

「残菊」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「残菊」について

【表記】残菊

【読み方】ざんぎく

【ローマ字読み】zangiku

子季語・関連季語・傍題・類語など

・残る菊(のこるきく:nokorukiku)

・菊残る(きくのこる:kikunokoru)

季節による分類

・「さ」で始まる秋の季語

・「秋の植物」を表す季語

・「晩秋」に分類される季語

月ごとの分類

10月の季語

残菊を含む俳句例

仏壇の十日の菊の香かな/蝶夢

隠家や嫁菜の中に残る菊/嵐雪

残菊や今宮草の古表紙/村上鬼城

残菊や昨日迯にし酒の礼/炭太祇

残菊の雨は霰と変じける/有働亨

残菊や旧き家並の佃島/工藤久平

吹かれ来て残菊を捲く鉋屑/林翔

残菊や擁ねば妻女めく/小林康治

残菊や弓道場の風乾く/山崎和枝

行年や仏の花に残る菊/小澤碧童

残菊の心を己が心とし/山本忠壯

清浄に乱菊残す旧居かな/西本一都

山国の残菊日和惜みつつ/福田蓼汀

父に似し弟一人残る菊/松本たかし

残菊を括りし縄の荒々し/本宮鬼首

残菊も最量の雪負はさるる/齋藤玄

残菊や組紐店の細格子/柴田白葉女

残菊の淡き香や漂はず/相生垣瓜人

残菊やいつより胸を蝕みし/有働亨

残菊の刻のゆくまま菊日和/斎藤玄

俳句例:21句目~

残菊や戸口を埋む籾の山/大谷句佛

残菊や寺領あまたの影落し/柿本多映

五十年いま残菊も切り惜しむ/及川貞

凄じく女でありぬ黄菊残菊/鳴戸奈菜

友よ水低く残菊の葉の厚く/永田耕衣

夕風のはや残菊にたちそめし/小島健

残菊や賜ひてかろき母の金/小林康治

括られて残菊寒し日本海/殿村莵絲子

支ふとも縛るとも残菊に紐/藺草慶子

残菊や壜の向うは人知れず/和田悟朗

残菊と枯鉢と並ぶ花壇かな/大釜菰堂

雲の上に雲流れゐむ残り菊/赤尾兜子

残菊や父亡き家に仮にあり/木村蕪城

残菊や添竹はねて風のまゝ/高野素十

残菊の黄をとじこめし氷かな/辻桃子

残菊や五箇山朝の星うかべ/岡澤康司

残菊にさめじと契る欝金香/高井几董

恙なき余生重ねて残り菊/三ツ木竹子

残菊に汀優しく寄せにけり/草間時彦

残菊や一つまはらぬ糸車/原田しずえ

俳句例:41句目~

残菊や風も峠を登りゆく/猿橋統流子

露かわく残菊の奥宮司病む/宮武寒々

しぐるヽや残菊白き傘の下/尾崎放哉

残菊にしとどの露や序の如く/齋藤玄

残菊や馬一頭を洗ひあげ/大木あまり

残菊のとどめし色や素十亡し/上村占

残菊のなほその蕾数知れず/原田一郎

雨に伏す残菊にして黄なる艶/米谷孝

残菊や殉死一才耶蘇名無く/山田弘子

すがれても残菊の色確かなり/高澤良一

ほそ~と残菊のあり愛しけり/高浜虚子

束ねられ淋しくなりし残る菊/柴田奈美

残る菊K君の墓はどこでせう/岡田史乃

残菊にしたしむ間なく病重ね/木村蕪城

残菊にまた降る雨の雪まじり/中村蛍露

残菊に切羽詰まりし雨となる/高澤良一

残菊に北山しぐれほしいまゝ/山本い花

残菊に正しく移り行く日かな/高濱年尾

残菊に泪濺げり人知れず/久保田万太郎

残菊に火の粉波郷忌前夜かな/皆川白陀

俳句例:61句目~

残菊に犬も淋しき顔をする/殿村莵絲子

残菊のほかは全く枯れ果てゝ/高浜年尾

残菊の括られて咲く高さかな/藺草慶子

残菊の畑ほとりをあるきけり/村上鬼城

残菊の袂のごとくひるがへる/中村将晴

残菊の青蕾さはにかなしけれ/山口青邨

残菊のよき官邸でありしかな/久米正雄

残菊やためらひ鋏鳴らしつゝ/川畑火川

残菊や一管の笛に執着し/長谷川かな女

残菊や壁の字誰も読めずをり/桜井博道

残菊や指冷えそめし厨ごと/鈴木真砂女

残菊や捨湯げむりの谿を這ふ/加古宗也

残菊や日ざし乏しき紙漉場/成瀬桜桃子

残菊や時めく人に訪はれ/竹下しづの女

残菊より低く病者等跼み合ふ/石田波郷

汲みおきの水の冷し残る菊/鈴木真砂女

立て直す残菊午後は雨となる/高木勝代

雨ふれば雨ににじみぬ残る菊/山口青邨

残り菊棚田の隈に伏してゐし/細見綾子

酒壺に十日の菊ぞ挿したまへ/石川桂郎

俳句例:81句目~

残菊の色を惜しまず焚かれけり/乙黒幸江

温泉客われのみに残菊日々の晴/宮武寒々

残菊の風避くべくもなかりけり/中村汀女

残菊のひとかたまりに跼み癖/殿村莵絲子

残菊や彼此なく向ひ立つこゝろ/石塚友二

歯朶の枯れ残菊の紅子に帰らん/細見綾子

残菊の番りをよべばたまかぎる/伊藤敬子

紅葉々をちらしかけてや残る菊/立花北枝

手の荒れを防ぐも一事残る菊/鈴木真砂女

見る時は残菊としもなかりけり/黒柳召波

残菊のあたたかければ石に坐す/細見綾子

残菊のあざやかなるを剪り束ね/黒田杏子

逢はむとて残菊を焚き訣れけり/小鳥幸男

残菊に日のこんこんと胸あつし/内藤吐天

残菊に佇つ老教授なりしかな/池上柚木夫

残菊や爛柯に似たる句の一と世/荻野泰成

残菊に佇ちて返せる歩なりけり/木下夕爾

かくれ家やよめ菜の中に残る菊/服部嵐雪

残菊や祈り忘れし日なり逝く/殿村莵絲子

残菊の弁のいづれも欠けてをり/高濱年尾