季語/糸瓜(へちま/いとうり)を使った俳句

「糸瓜」を使用した俳句についてまとめてみました。

スポンサーリンク

季語「糸瓜」について

【表記】糸瓜

【読み方】へちま/いとうり

【ローマ字読み】hechima

子季語・関連季語・傍題・類語など

・蛮瓜(へちま:hechima_)

・布瓜(へちま:hechima__)

・長瓜(ながうり:nagauri)

季節による分類

・「へ」で始まる秋の季語

・「秋の植物」を表す季語

・「三秋」に分類される季語

月ごとの分類

8月の季語

9月の季語

10月の季語

糸瓜を含む俳句例

糸瓜屑寄る秋水の曲角/百合山羽公

相似たる隣合せの糸瓜棚/津田悦子

盥打つ糸瓜を出でし一雫/大野朱香

飲食の水の音して青糸瓜/細川加賀

主病ム糸瓜ノ宿ヤ栗ノ飯/正岡子規

糸瓜顔南瓜顔に瓜顔は/生島百世庵

今日の空水の音して糸瓜垂れ/原裕

正直に糸瓜の水の溜りけり/三島素耳

宿房に朝の光げさす糸瓜棚/角田独峰

糸瓜水作るも女ごころかな/鹿子島薫

鶏頭ヤ糸瓜ヤ庵ハ貧ナラズ/正岡子規

園丁の住居とも見ゆ糸瓜棚/松尾緑富

堂守の植ゑわすれたる糸瓜かな/蕪村

揃へ脱ぐ中に長靴糸瓜加持/高澤良一

晩年の如くに垂れて青糸瓜/高橋悦男

飲食の水の音して青へちま/細川加賀

夕顔は糸瓜にいづれ秋の風/会津八一

登校の子ら恙なじ糸瓜垂る/堀川福子

小半日父の来てゐて糸瓜伸ぶ/神蔵器

棚ノ糸瓜思フ処ヘブラ下ル/正岡子規

俳句例:21句目~

軒燈の初光が流れ糸瓜若し/香西照雄

物思フ窓ニブラリト糸瓜哉/正岡子規

中天に太子現われ糸瓜かな/和田悟朗

老夫妻黙の糸瓜に夕餉はや/松村蒼石

良寛の墓の道なり糸瓜稲架/田中成一

落し物糸瓜一本秋のくれ/百合山羽公

雨風の糸瓜の水も流されぬ/石田波郷

加持糸瓜諸手支へに流しけり/岡田鉄

糸瓜洗ひ叩いて秋の水通す/百合山羽公

糸瓜棚解いて落日かくれなし/上野果堂

それ~にをかしく古りぬ糸瓜引/飴山實

糸瓜棚をこごみ癖して出勤す/小川千賀

曲り放題糸瓜の尻の上りけり/野村喜舟

よく見たる右廻りなる糸瓜蔓/高浜虚子

糸瓜垂れ青しといへど夕暮色/長谷川双

糸瓜サヘ仏ニナルゾ後ルルナ/正岡子規

月さすや癖三酔の絵の糸瓜/大場白水郎

下り月糸瓜の水のたまりつつ/和田祥子

二階住糸瓜に近きおもひかな/会津八一

仏にも足には馴るる糸瓜かな/上島鬼貫

俳句例:41句目~

糸瓜やや曲り此の世は面白く/下村非文

偈の如く糸瓜の絶句黙読す/浅井青陽子

十六夜や冷気おぼゆる糸瓜影/富田木歩

天竜の夜霧糸瓜を枯らせしか/栗生純夫

痰一斗糸瓜の水も間に合はず/正岡子規

江州の奇なるを作る糸瓜かな/渋谷四楽

引落す糸瓜にも思ふ我家慾し/石田波郷

目鼻画く糸瓜の顔の長さかな/子規句集

朝涼の太り切ったる糸瓜かな/稲田眸子

糸瓜洗ひ続々とよき秋の水/百合山羽公

糸瓜肥え鶏頭痩せぬ背戸の雨/正岡子規

秋の燈の糸瓜の尻に映りけり/正岡子規

美しき母と糸瓜の水を取る/松波陽光城

子規庵の末枯すすむ糸瓜棚/伊藤いと子

柿の主糸瓜の水もとりにけり/小澤碧童

夕ぐれの風のあつまる糸瓜棚/畠山譲二

月出でて汐路ふくるる糸瓜加持/下田稔

身をくだつ姿寒しや浸け糸瓜/中野三允

野分して糸瓜の松に嘆きあり/石塚友二

隣より蔓返されて糸瓜垂る/佐野たけ子

俳句例:61句目~

来宅の途次の糸瓜の棚のこと/高澤良一

秋風やあれし頬へぬる糸瓜水/杉田久女

寝椅子より糸瓜の棚の裏見たり/辻桃子

青へちま仁王の舌のほどはあり/高島茂

西行に糸瓜の歌はなかりけり/正岡子規

秋に形あらば糸瓜に似たるべし/正岡子規

稲刈ぢや菊も糸瓜もあるものか/会津八一

糸瓜の日消ゆればやがて暮れにけり/篠原

糸瓜みな附句のごとく垂れ下り/高澤良一

糸瓜より糸瓜の影の長きかな/今成無事庵

糸瓜作り石錘せしむかしより/百合山羽公

糸瓜屋根に寝そべり下に二世帯/香西照雄

糸瓜引きかへつて深き家のうち/桂樟蹊子

糸瓜棚残暑だらりと垂れてゐし/柴田奈美

ありたけの水を吐いたる糸瓜哉/石井露月

へたり込む糸瓜野郎の跳人かな/高澤良一

むつかしく考へてゐる糸瓜かな/小川軽舟

やゝさむや糸瓜の水とる畑の瓶/滝井孝作

一大事も糸瓜も糞もあらばこそ/夏目漱石

十五夜の空へこぞれる糸瓜加持/高澤良一

俳句例:81句目~

草焼く煙青き糸瓜のほかを籠め/野澤節子

垂れ下がる糸瓜の間出入かな/山中真智子

垢すりになるべく糸瓜愚也けり/正岡子規

子規庵の糸瓜こづきて立去るか/高澤良一

帰省子に糸瓜大きく垂れにけり/杉田久女

長けれど何の糸瓜とさがりけり/夏目漱石

糸瓜だらり主戻りし灯がともる/中島月笠

振つて見る糸瓜の水の徳利かな/会津八一

霜枯れの糸瓜が吹かれ妙義みち/土屋秀穂

梅が枝にこぞの糸瓜も下りけり/室生犀星

一得と愚なる糸瓜の水を取る/筏井竹の門

渋団扇糸瓜月夜を更かすなり/岡本癖三酔

畳荷出し糸瓜に頭こづかれて/小林のり人

子の死後も糸瓜の水を取りきれず/萩原麦草

糸瓜水とりし明治のなつかしき/井上みよの

ゴンベーの蠅を喰み居る糸瓜かな/富田木歩

糸瓜水取りて分け合ふ人のあり/室町ひろ子

けふはおわかれの糸瓜がぶらり/種田山頭火

取りもせぬ糸瓜垂らして書屋かな/高浜虚子

水をとる根岸の糸瓜あるやなし/芥川龍之介