季語/吹雪(ふぶき)を使った俳句

俳句例:201句目~

地吹雪の顔もて集ふ仲間かな/成田千空

葱買ふや吹雪の傘を傾けて/岡崎莉花女

合鍵で遠い吹雪の扉を開ける/対馬康子

熄む気配なし海鳴も地吹雪も/中出静女

松明はまばたき吹雪通りけり/前田普羅

深海のさくら吹雪をこそおもえ/畠山弘

地中海へ愛は埋めよ吹雪の夜/嶋田麻紀

蓬莱やふぶきを祝ふ吹雪の句/正岡子規

右舷照り左舷吹雪けり日本海/毛塚静枝

地吹雪がかくす札幌時計台/魚野満佐流

甲子雄亡し白根三山吹雪つつ/大井雅人

町の上に雪嶺澄めり吹雪熄む/相馬遷子

蟹糶る声沖より吹雪段なして/三好潤子

行けば在る吹雪の佐渡や堅枕/池田澄子

病枕地吹雪ときに火の音して/寺田京子

海峡を航く灯の中は吹雪をり/藤田湘子

谷かけて一樹の花の吹雪かな/野村泊月

地吹雪と別に星空ありにけり/稲畑汀子

吹雪に蓋しても荒野続くだけ/櫂未知子

輿のひまに袖あて給ふ吹雪哉/正岡子規

俳句例:221句目~

初日記加賀の吹雪と松のこと/鈴木鷹夫

送電塔降り来て桜吹雪浴ぶ/石垣青☆子

桜吹雪ぽつんと置かれ魔法瓶/いさ桜子

酒かひのあぜ道さがす吹雪哉/正岡子規

酔狂の旅をいさむる吹雪かな/幸田露伴

海へ還る地吹雪晩年泣かぬ母/齋藤愼爾

吹雪來んとして鐘冴ゆる嵐哉/正岡子規

旅人を飛白にしたる吹雪かな/杉本雷造

吹雪来ぬ目鼻も分かず小商人/前田普羅

本郷は切通し上吹雪かな/久保田万太郎

鎌倉と話す電話や吹雪をり/池内たけし

開け放つ二階へ桜吹雪かな/小川みのる

白馬岳春の吹雪にかくれけり/矢島渚男

除雪夫が吹雪を衝いて集り来/高濱年尾

除雪夫の帰路の吹雪に声発す/櫻井菜緒

雑煮椀吹雪つき来し手に温き/手島靖一

雛祭る夜を吹雪なり湯檜曽村/沢田幸子

怖しや吹雪倒れの谷はこゝ/池内たけし

音もせずなりぬ吹雪の馬の鈴/正岡子規

猛りつついよいよ潔し地吹雪は/澁谷道

俳句例:241句目~

何か呼ぶ吹雪の奥へ帰りたし/橋石和栲

対岸の見えぬ吹雪に渡船出る/小島梅雨

吹雪冴えして岩壁の福寿草/加藤知世子

村営バス吹雪の女拾ひけり/戸塚時不知

津軽三味吹雪のごとく撥当てる/源鬼彦

地吹雪に根尾の老桜巌のごと/近藤一鴻

齢闌けて吹雪のように踊るかな/澁谷道

大時計振り子重たき吹雪の夜/清水和徳

上牧の山に日はさしふぶきをり/上村占

思ほへば吹雪に暮るゝ父子墓/高橋睦郎

出奔す花のふぶきに包まれて/日原輝子

地の声となり一面の花ふぶき/対馬康子

山寺の仁王たぢろぐ吹雪かな/幸田露伴

晩年は桜ふぶきと言ふべかり/中村苑子

地吹雪に雪原の村吹き消さる/長谷川櫂

淡墨桜高枝のはやふぶきをり/倉橋羊村

地吹雪のかの糸櫻見舞ふべし/黒田杏子

桜吹雪前後見知らぬ黒の列/殿村莵絲子

夕星の空よりさくら吹雪かな/阪田昭風

吹雪けども今宵満月の空明り/佐野良太

俳句例:261句目~

空海も見たか高野の花ふぶき/岡井輝生

笑い了えし体が桜ふぶきの中/池田澄子

花ふぶきやみて一片幹つたふ/皆吉爽雨

地吹雪のやがて遠のく三番叟/黒田杏子

蓬莱やふぶきを祝ふ吹雪の句/正岡子規

人間に家ありて外吹雪をり/嶋田摩耶子

覇者に紙ふぶき敗者に花吹雪/太田寛郎

間近なる一樹はふぶき花の山/藺草慶子

奥尻や海馬吼ゆるとき夜の吹雪/板谷島風

子をかばふ鶴たちまどふ吹雪哉/正岡子規

子を抱かぬ胸を濡らして春吹雪/手塚美佐

子等の絵に真赤な太陽吹雪の街/金子兜太

寒くとも吹雪ともわが街が好き/高橋笛美

寶恵籠の梅にまことの吹雪かな/松瀬青々

山中の吹雪抜けきし小鳥の目/福田甲子雄

山形といふ市を中に吹雪かな/松根東洋城

川甚や吹雪の庭に雪掻ける/阿部みどり女

帰りゆく吹雪の信夫山めざし/福田甲子雄

廃校の母校のさくら吹雪かな/山田みづえ

我を待ちくるる人等よ吹雪行く/高橋笛美

俳句例:281句目~

二重窓開けて吹雪に灰捨つる/畠中じゆん

掌の上に豆腐吹雪はやまぬのか/吉野義子

料亭を出て夜の吹雪頬にあらく/高濱年尾

春吹雪声をかけねば母消ゆる/小野寺敏子

更くるとき吹雪に紛れ帰りけり/水田清子

最上川吹雪の底を流れけり/宇都木水晶花

松風の怒濤の如き吹雪かな/阿部みどり女

桃花またさくら吹雪に倣ひけり/大橋敦子

梵天祭吹雪死餅をふところに/宮崎とき女

棺負うたままで尿する吹雪かな/眞鍋呉夫

横目にて像は吹雪ける花を見る/高澤良一

橇やがて吹雪の渦に吸はれけり/杉田久女

比良比叡吹雪そのまま湖に落つ/中西宗徳

浪ぎははさらに横ふくふゞき哉/正岡子規

海鼠売向ひ吹雪を行きにけり/大橋櫻坡子

渡り漁夫今日も渡れる吹雪かな/村上三良

湯畑は湯花掻きごろ吹雪止む/古賀まり子

漸くにまた起きあがる吹雪かな/夏目漱石

火の山の吹雪のさきの尖りけり/庄司滴露

火葬精霊春の吹雪にあひにけり/松村蒼石