季語/昼寝(ひるね)を使った俳句

俳句例:101句目~

昼寝する清潔な足母老いし/藤野/武

ひとひらの青き楓と秋昼寝/長谷川櫂

風庇昼寝も海を潜くくらさ/友岡子郷

昼寝せむ塔組みあげし匠らと/山本源

みづうみに鰲を釣る夢秋昼寝/森澄雄

昼寝せり風葬窟に隣りして/堀口星眠

昼寝せる妻も叱らず小商ひ/高浜虚子

海洋に出て船旅の昼寝かな/安藤順一

顔と膝おなじによごれ昼寝せる/篠原

陽炎や昼寝の爺の白髪なり/正岡子規

陶枕に昼寝の猫の似てきたり/日原傳

陶枕に昼寝て夜の磁気枕/中戸川朝人

汲水に落ちし松風昼寝ざめ/西山泊雲

鉛筆を抛ちてすぐ昼寝かな/斉藤夏風

昼顔に昼寝せうもの床の山/松尾芭蕉

昼寝の子絵本を風の開きとじ/上野泰

踝の汚れ切つたる昼寝かな/行方克巳

赤寺の鬼に出逢ひし昼寝かな/龍岡晋

読む本を其まゝ顔に昼寝哉/正岡子規

西日さす昼寝の腹や中二階/正岡子規

俳句例:121句目~

氷川丸訪ふや昼寝と髭剃に/久野雅樹

一山をこして梺の昼寝かな/正岡子規

水甕にそつと鳥来つ昼寝時/高田蝶衣

昼寝よりはじむ入院一日目/茨木和生

歌書俳書紛然として昼寝哉/正岡子規

丸鋸の蔭に昼寝の製材工/木村里風子

蜂の巣をひとうちにして昼寝哉/成美

昼寝より背を畳よりはがし起く/篠原

蚤昼寝時々油断見すまされ/正岡子規

曳船の船を曳きゆく昼寝かな/龍岡晋

昼寝より覚めし教師に一仕事/森田峠

荒涼と昼寝のあとの桜かな/草間時彦

草刈れと昼寝の童起さるる/木村蕪城

魂にゆりおこされて昼寝覚め/上野泰

魂が身にぶつつかり昼寝覚め/上野泰

雲表の風吹きかはる昼寝覚/手島靖一

雲を追ふ雲を見送る昼寝覚/市瀬元吉

茶屋女芦生の昼寝起しけり/正岡子規

旅人の昼寝のあとや草の蚤/藤野古白

遠き叱声遠き泣き声昼寝覚/奈良文夫

俳句例:141句目~

週刊誌胸におもたく昼寝覚/岡本京子

ひやひやと壁をふまへて昼寐哉/芭蕉

傘張は傘の陰なる昼寝かな/正岡子規

傾城の昼寝はあつし金屏風/正岡子規

元日を白く寒しと昼寝たり/西東三鬼

日盛や所かへたる昼寝犬/島村元句集

元日を白く寒しと昼寐たり/西東三鬼

内閣を辞して薩摩に昼寝哉/正岡子規

冬晴や朝かと思ふ昼寝ざめ/日野草城

春本を読みすて昼寝行々子/田中冬二

刀匠の昼寝長くて風わたる/飯田蛇笏

足近く落ちゐし簾昼寝覚/大橋櫻坡子

昼めしの腹を風吹く昼寝哉/正岡子規

訪へる大きな声に昼寝覚/古屋敷香葎

前掛けの汚れて白き昼寝かな/原月舟

庭下駄を雨濡らしゐる昼寝覚/西山睦

山川のあとかたもなし昼寝覚/徳弘純

子の海へ続く空得し昼寝覚/都筑智子

能舞台猫の昼寝は許しけり/藤井律子

西安にゐたる筈なり昼寝覚/藤田湘子

俳句例:161句目~

蝉もその一つに遠し昼寝覚/古館曹人

古池の藻が蜻蛉うむ昼寝かな/龍岡晋

我生の今日の昼寐も一大事/高濱虚子

撫子やひとり昼寐の檜木笠/藤野古白

昼寐して梯子とられし二階哉/蕉雨亭

考へのがらりと変り昼寝覚/柏井季子

昼寐人に日去りし簾巻きにけり/篠原

昼寐人を遠ざかり居て話しけり/篠原

板敷や昼寐をめぐる山の蟻/子規句集

百姓へあつさ預けて昼寝哉/正岡子規

紅糸を膝につけたる昼寝覚/山本洋子

現身の何も残らず昼寝覚め/中村汀女

夢のみが平凡ならず昼寝覚/嶋田一歩

地獄絵を高く掛けゐし大昼寝/石寒太

肺強く鳴って老農昼寝せり/山口誓子

墓山の墓なだれたり昼寝覚/細川加賀

肩書のすべてが外れ大昼寝/市橋一男

海上に蔓揺れてゐる昼寝覚/大屋達治

夏風や昼寝さめたる刺青師/西島麦南

蝿ひとつねられぬ秋の昼寐かな/松覚

俳句例:181句目~

注射針ぬうっと太き昼寝覚/高澤良一

泡沫のなほ立ち昇る昼寝覚/高澤良一

水底を戻りしおもひ昼寝覚/朝倉和江

古ぼけし畳の目あり昼寝覚/高澤良一

老師いま昼寝の大事土用東風/森澄雄

光陰の流るる音に昼寝覚/野見山朱鳥

大昼寝夢のなかまで鯨かな/諸角和彦

何か罪犯せるごとし昼寝覚/大熊虚阿

昼寝ざめ厨に立てり胸の汗/石塚友二

線香の燃えをり昼寝お滝守/河野静雲

大蟇に昼寝人皆覚め居たり/西山泊雲

次々と手足が生えて昼寝覚/澤井我来

大鯰生かして昼寝むさぼれる/下田稔

天が下団扇にかくれ昼寝かな/上野泰

三面鏡その一面に昼寝覚む/白岩三郎

紅雀主ジの昼寝鳴きにけり/野村喜舟

一本の背骨はありぬ昼寝覚/黒田杏子

わが声がわれを欺く昼寝覚/高澤良一

太平記戦サ永引く昼寝かな/野村喜舟

昼寝覚腹に溜つてゐる運河/杉野一博