季語/神楽(かぐら)を使った俳句

俳句例:101句目~

夜神楽や燗も熱めのかつぽ酒/梶原宇良

夜神楽や神の饗宴うつくしく/竹下陶子

天離る石見の国の神楽見つ/野見山朱鳥

山神楽冬霞みしてきこえけり/飯田蛇笏

峡田植う神楽の国の裔として/松岡英士

年男追儺神楽にはやも酔ふ/下村ひろし

御旅所に大太神楽うち据えて/高澤良一

黄心樹の一樹の月に神遊び/小原菁々子

牛飼の夜はつかまつる神楽笛/林加寸美

病床に神楽見て来し物がたり/富安風生

磧ゆくわれに霜夜の神楽かな/飯田蛇笏

神楽の夜湖心にありし心中かな/原月舟

神楽太鼓女が打ちて女の音/橋本美代子

神楽太鼓打つや地酒の力もて/大橋敦子

いつまでも眠たき神楽囃子かな/高浜虚子

うぶすなの剽軽て空を神楽笛/猪俣千代子

夜神楽や子の頭撫で去る手力男/大橋敦子

およびより鬼となりゆく神楽姫/伊藤孟峰

お神楽に四方の雨霧たもとほり/太田鴻村

お神楽の大蛇刺されて以後夜涼/坂野宜枝

俳句例:121句目~

寒月光掌に享け神楽舞ひにけり/佐川広治

かんばせに笛を横たへ神楽かな/尾崎迷堂

夜神楽舞う少年の祖母箸つかう/伊丹公子

きさらぎの杜しづかなる神楽笛/石原舟月

夜神楽や手力の雄の息の霜/菅原師竹句集

笛の音の霜結ばする神楽かな/東洋城千句

夜神楽に拍子抜けたる仕草あり/矢島渚男

木の根にも聞耳ありて神楽笛/百合山羽公

重著や神楽のはてにあさぼらけ/古舘曹人

酉の市そのお神楽の馬鹿囃子/高橋淡路女

三日月に強く吹くなり神楽笛/阿波野青畝

九字切つて始まる湯立神楽かな/服部翠生

村にある睡りの箱に神楽きこえ/阿部完市

伊勢神楽くる頃ほひのえり仕度/佐野美智

冬の雨お神楽あがりゐたりけり/田村木国

噴き出づる酔夜神楽の鬼の面/後藤比奈夫

土器にともし火燃ゆる神楽かな/飯田蛇笏

夜神楽を仰ぐとなりも旅の顔/古賀まり子

落鮎のころの神楽に山を越え/神尾久美子

夜神楽に神のはばたくうしろ影/桂樟蹊子

俳句例:141句目~

御鏡の夜気に曇りし神楽かな/石島雉子郎

農夫等の夜は神となり神楽舞ふ/蔵本雨亭

御輿洗ひはざの白さや神楽神子/椎本才麿

神楽笛空より降つて茅の輪かな/中村祐子

御神楽を舞ひふるさとの三ヶ日/星野秀則

神楽翁きこしめしたる足運び/飯塚田鶴子

神楽巫女うす雪踏みて出仕しぬ/西島麦南

姫の貌まぼろしを追ふ神楽かな/飯田蛇笏

着ぶくれて神楽太鼓を敲きけり/佐川広治

庭燎とふ神楽歌あることを聞く/後藤夜半

荒星をぶちまけ神楽はじまりぬ/奈良文夫

神楽舟澪の灯りの御火白くたけ/服部嵐雪

神楽面とればしたしき老の顔/恵良いさ子

歯なきその口もと見まじ神楽歌/高田蝶衣

夜神楽や優しき鬼に踏まれもし/矢島渚男

神楽師を訪ふ夕凪のひとり舟/能村登四郎

夜神楽の出番のおろち既に酔ふ/橋詰沙尋

露草に出雲神楽のとどろけり/梶山千鶴子

月浴びて縁に子等居り神楽獅子/富田木歩

神楽果つ狐狸のひそめる闇深め/星野秀則

俳句例:161句目~

高千穂の闇ずつしりと神楽果つ/白井新一

神楽果て闇打つてゆく下駄の音/奈良文夫

鬼呼ぶと神楽太鼓の荒ぶかな/ふけとしこ

夜神楽の室の八嶋へ厚着せり/舘野たみを

ゆく春の雨は庭燎の辺に降りぬ/岸風三楼

庭燎とふ神楽歌あることを聞く/後藤夜半

夜神楽のもどきの鬼の草鞋ばき/西本一都

神楽殿寒の日差しのゆきわたり/中村祐子

鞠始ありゃおうと継ぎ庭燎かな/松田曼莉

夜神楽のざんざん降りの大太鼓/高橋悦男

楠へ消えたむささび夜神楽急調子/伊丹公子

末社とて追儺神楽もなかりけり/下村ひろし

神楽宿のわやわや切り口並ぶ野菜/伊丹公子

お神楽の鬼に赤子を抱かせけり/亀井雉子男

きさらぎのしらぎぬうすき神楽姫/石原舟月

はじまりし追儺神楽に夜鳥翔つ/下村ひろし

乞食の子ひとり出て居る神楽かな/富田木歩

はだの面白面白と見ゆるや神楽綿/井原西鶴

御神楽や火を焼衛士にあやからん/向井去来

岩戸神楽とどめの笙に青葉照る/木下ふみ子

俳句例:181句目~

積る気の雪になりたる神楽かな/黒崎かずこ

子神楽のまことおさなき鬼出づる/伊藤孟峰

綺羅星に石見神楽は火を焚いて/野見山朱鳥

神の名のなべてむづかし夜の神楽/上野繁子

神楽はてゝ長鳴鳥の鳴く夜かな/田中田士英

舞ひをへし納め神楽の短かゝり/高柳/和弘

烏団扇神楽しぐさに先づつかひ/岸本まさを

藤靉靆お神楽きこえそめにけり/阿波野青畝

神楽まふ火にも雪にも流れあり/赤松けい子

死にゆくは鬼もあはれや神遊び/野見山朱鳥

夜神楽を触れて太鼓の昼間より/竹森登美恵

夜神楽のしらじら暁けの怒濤見ゆ/橋本鶏二

神楽唄のびやかに月杉間より/菅原師竹句集

神楽大蛇尾のさきまでも怒りたる/居升白炎

夜神楽の怪鳥を湖に追ひやりぬ/長谷川かな女

夜神楽にむささびの啼く夜もあらん/江口竹亭

一センチの河口へ炎える土の神楽/稲岡巳一郎

野良着脱ぎ神楽の足袋を穿きにけり/佐川広治

おもしろもなうて身にしむ神楽かな/立花北枝

神よりも鬼のよろしき神楽かな/野見山ひふみ