俳句例:101句目～
亜浪忌や燃えぬ枯葉を燻らして/中村笙川
南無枯葉一枚の地にひざまづく/佐藤鬼房
喪に居れば廂のうらの枯葉見ゆ/佐野良太
地の枯葉枝の枯葉に飛びかかる/白岩三郎
夜の枯葉薄氷を聞くほどに過ぐ/対馬康子
子雀のよにまろび来る枯葉かな/富田木歩
定まらぬ枯葉の行方追はずとも/稲畑汀子
少年ら枯葉のスープ作るらし/本田ひとみ
薄き舌のスラヴ通訳塩吹く枯葉/寺田京子
手術待つ土が枯葉を待つやうに/岸秋渓子
襟筋に何の枯れ葉か舞ひ落ちぬ/田中冬二
足尾銅山枯葉に重さありにけり/渡辺恭子
掻きわたる枯葉に霜や牛蒡引/斎藤俳小星
日だまりの枯葉いつとき芳しき/石橋秀野
金の矢のごと落葉松の枯葉降る/伊藤柏翠
明慧忌や紅葉の枯れ葉踏み詣づ/大谷句佛
降り積めば枯葉も心温もらす/鈴木真砂女
暮れて聴く枯葉に雨の一葉忌/千代田葛彦
霞網枯葉を抱いてわすれられ/永瀬美恵子
露座仏に下生の影す枯葉浴び/殿村莵絲子
俳句例:121句目～
朴枯葉かさばりおちて流れけり/飯田蛇笏
朴枯葉地に全きを掌にしたり/下村ひろし
風に鳴る桑の枯葉の径もせに/軽部烏帽子
風の音日の音枯葉ささやける/藤原たかを
枯れ葉捲き上げ寒冷前線通過中/吉本和子
年寄の手をもみはじむポポー枯葉/和知喜八
魔除団扇に枯葉一枚捧げられ/久保田月鈴子
栗枯葉反り切つて落つわさび田ヘ/細見綾子
山毛欅枯葉山の日差しに背を丸め/高澤良一
枯葉払つて竹の高さの冬日かな/大谷碧雲居
枯葉しかと小枝にあるや日の冬木/高濱年尾
わがいのち枯葉に与へそれでよし/平井照敏
むら雨に枯葉をふるふささげかな/飯田蛇笏
みみづくの枯葉となりて睡りをり/内山亜川
水の上を枯葉のはしる念仏かな/藤田あけ烏
ねだられて妻が枯葉に句をしるす/横山白虹
日の縞をちりりりりりと枯葉舞ふ/加藤耕子
一葉づつ一葉づつ雨の枯葉かな/八幡城太郎
火の染めし枯葉に終の匂ひかな/櫛原希伊子
すぐに火にしたくて拾ふ杉枯葉/甲田鐘一路
俳句例:141句目～
さまざまな枯葉踏み来し靴を脱ぐ/神長裕子
芭蕉葉にちりたまりたる枯葉かな/西山泊雲
擬態かなねむりて枯葉の息をする/新間絢子
幾つもの死がありてとぶ枯葉栗鼠/和知喜八
風の音枯葉の音にふりむきし/田中/起美恵
枯葉のため小鳥のために石の椅子/西東三鬼
ベツドまで枯葉四十年生きつめて/斎藤愼爾
からからと走る枯葉も焚かれけり/小坂優美子
からからと吹かるゝ枯葉蓮根掘る/梅島/婦美
枯葉散るわが身に触れぬままに散る/仙田洋子
夕眺め枯葉ひとつら寒さ呼ぶ/飛鳥田れい無公
アカシヤの枯葉ふるひつ明け易き/佐野青陽人
舞ふ枯葉見つくさず逝くモンタンか/橋本榮治
葭きりが鳴く高葭の枯葉かな/飛鳥田れい無公
その中のひとつの枯葉画布にあり/永井たえこ
シャツ赤く来しが枯葉に鞭鳴らす/篠田悌二郎
枯葉越し冷やかに道行く人ぞ/飛鳥田れい無公
ハプスブルクの四輪馬車に枯葉舞ふ/仙田洋子
まんさくの枯葉落さず咲きにけり/長崎小夜子
枯れ葉くるくる都会の好きなつむじ風/岩間民子
俳句例:161句目～
枯葉揉まるる音澄んで雪原の月/飛鳥田れい無公
陽まみれ枯葉うけとめしわが鉄格子/八木三日女
野鳩はただ一羽にて枯葉のぬくみ貪る/喜谷六花
枯葉なんぞの匂ひわが身に日向ぼこ/山上樹実雄
日あかるし枯葉とおつる雨にほふ/飛鳥田れい無公
舞ふ枯葉うけとめし手を日にさらす/飛鳥田れい無公
頬白のひとりごとくぬぎはいつまでも枯葉/吉岡禅寺洞
滅燈会枯葉の精も加はれる///清浄光寺一ツ火/高澤良一
マントをひろげて土に返る前の枯葉をみんな抱きしめたい/槙弥生子
