「虎落笛」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「虎落笛」について
【表記】虎落笛
【読み方】もがりぶえ
【ローマ字読み】mogaribue
子季語・関連季語・傍題・類語など
–
季節による分類
・「も」で始まる冬の季語
・「冬の天文」を表す季語
・「三冬」に分類される季語
月ごとの分類
虎落笛を含む俳句例
虎落笛叫ぶ少年と銃の隙/原裕
新しき枕眠れず虎落笛/星野椿
虎落笛今宵修道院泊り/津田清子
虎落笛わが片肺の半世紀/神原健
電工の働く虎落笛の上/馬越冬芝
座礁船北の挽歌や虎落笛/林青峰
虎落笛色紙一枚約果す/石川桂郎
日の匂して水上の虎落笛/斎藤玄
纜の太く短しもがり笛/田中峡一
紫の氷かなしや虎落笛/川端茅舎
太梁は夜に艶増す虎落笛/能村研三
金色堂奏づる月の虎落笛/沼澤石次
堤防の長々と暮れ虎落笛/荒金久平
白日の天地悲しむ虎落笛/相馬遷子
長城に匈奴の叫び虎落笛/品川鈴子
鉄橋を一塊として虎落笛/鷹羽狩行
山の雲海へ移りぬ虎落笛/稲畑汀子
川音と同じ夜空の虎落笛/廣瀬直人
寝る前の錠剤一つ虎落笛/錦織畔燼
愛憎や卓上に吹く虎落笛/塚本邦雄
俳句例:21句目～
鉄塔の峰々つなぐ虎落笛/道川虹洋
虎落笛この一管は父の国/松山足羽
虎落笛胎児は耳の形して/森田智子
ふるさとに父の独酌虎落笛/大串章
日輪の月より白し虎落笛/川端茅舎
月磨き星を磨きぬ虎落笛/津村典見
胸廓の裡を思へば虎落笛/日野草城
葬送の堂を包みて虎落笛/稲畑汀子
虎落笛母大切に籠りけり/野村喜舟
風神の韋駄天走り虎落笛/不破幸夫
虎落笛ねむれぬ病我にあり/上村占
港の灯瞬きもせず虎落笛/水原春郎
子の病気いつも突然虎落笛/下田青女
寝返れば耳吹く風や虎落笛/石塚友二
三千年先人の声もがり笛/百合山羽公
山車倉に昔の闇や虎落笛/中村風信子
この齢で何をおそるゝ虎落笛/及川貞
帰り来し故郷の山河虎落笛/星野立子
虎落笛夜に甦る怒りあり/伊丹さち子
忌日なき遊女の墓や虎落笛/正岡照世
俳句例:41句目～
鰻田に闇うづくまる虎落笛/児玉寛幸
神々の空ゆく哄ひ虎落笛/渡邊千枝子
抹殺の線を真直に虎落笛/殿村菟絲子
虎落笛吉祥天女離れざる/橋本多佳子
肉親の顔が遠のく虎落笛/柴田白葉女
閻王に更けし灯や虎落笛/小原菁々子
シベリアの星は幾重か虎落笛/最東峰
虎落笛人の不運に隙間なし/内藤吐天
昼暗き笹叢ばかり虎落笛/加藤知世子
虎落笛眠に落ちる子供かな/高浜虚子
亡き人の声還るとも虎落笛/大橋敦子
人の黙こはし岬の虎落笛/大木あまり
虎落笛百鬼夜行を旨とせり/柴田奈美
仰臥して死後や朝の虎落笛/古舘曹人
叡山は虎落笛さへ仏陀めく/堀無沙詩
虎落笛星の吹けるは竪笛に/井沢正江
虎落笛ゐつく曲馬の天幕に/西川雅文
虎落笛帰らんとする家の形/岡田耕治
歩一歩闇ひきしまる虎落笛/相馬遷子
朽舟の嗚咽の如し虎落笛/三上美津女
俳句例:61句目～
母親の影より生まれ虎落笛/高澤晶子
虎落笛子供遊べる声消えて/高浜虚子
虎落笛天の肋も折れにけり/熊谷愛子
虎落笛夜は鯨を連れてくる/澤本三乗
夜は村に霊還り来る虎落笛/笹川正明
奥能登の百日止まぬ虎落笛/松本伸一
虎落笛また父母の墓にきぬ/三宅句生
母看とり夫看とる夜の虎落笛/仲澤昭
ふとさめし夜の深さに虎落笛/清崎敏郎
みちのくや厠もつとも虎落笛/草間時彦
めぐる日や釈迦三尊に虎落笛/和田悟朗
やはらかき児の蹠拭く虎落笛/中田幸子
わが月日妻にはさむし虎落笛/加藤楸邨
一汁一菜垣根が奏づ虎落笛/中村草田男
体温を越えし念珠や虎落笛/鳥居美智子
掘れば出る籠城の米虎落笛/久保田雅代
売りに来し潮濡章魚や虎落笛/石塚友二
夜更けて吹き手の替る虎落笛/棚山波朗
折鶴蘭鏡にうつり虎落笛/阿部みどり女
柝鶴蘭鏡にうつり虎落笛/阿部みどり女
俳句例:81句目～
檣頭にあつまるロープ虎落笛/中村房子
海鳴りの天駆け虎落笛となる/桑田青虎
湖暮れて一戸一戸の虎落笛/山田みづえ
漂とちち渺とはは飛ぶ虎落笛/飯田綾子
琴糸を縒る灯も消えて虎落笛/細井みち
立枯れて芙蓉も鳴るや虎落笛/石川桂郎
終バスのひたすら走る虎落笛/山田節子
繋がれ合ふ囚人/電柱虎落笛/香西照雄
藁小屋に湯の花ねむる虎落笛/大島民郎
虎落笛いつの世よりの太き梁/広瀬町子
虎落笛子にも遺らぬ稿を継ぐ/石田波郷
虎落笛こぼるるばかり星乾き/鷹羽狩行
虎落笛叫びて海に出で去れり/山口誓子
虎落笛嫁が泣く場は詩の中/加藤知世子
虎落笛山より姥が子を盗りに/小川一路
虎落笛帯織る家を迂回せり/磯貝碧蹄館
虎落笛怪談いよいよ面白く/嶋田摩耶子
虎落笛抱かれて夜は何を生む/高澤晶子
虎落笛残しただけの留守電話/櫂未知子
虎落笛沖荒れやまぬ佐渡泊り/松尾緑富
