亡き人に関連した俳句の例をまとめました。
亡き人を含む俳句例
亡き人へ心かたむく夕桜/橋本榮治
亡き人の話を少し初写真/山西雅子
亡き人の笑ひ声かや日雷/山形晶子
亡き人の分も一碗新茶汲む/森喜代
亡き人の本を預かり冬構へ/石寒太
亡き人の声の残れる秋茗荷/森澄雄
亡き人の夢の短し春一番/細川良子
亡き人のこゑとも海の凩は/橋本榮治
亡き人のせし袋掛かと思ふ/井上無辺
亡き人も現れ荒磯を覆う秋/伊丹公子
亡き人の影ばかり踏む昼の月/石寒太
亡き人のみな座りたる未草/伊澤孝子
亡き人がきらきら通る掻氷/大塚珀蛾
亡き人の湯呑と春の大空と/岩田由美
暑き日や一掬の水亡き人に/佐野美智
亡き人の名が表札に柿若葉/岩田由美
亡き人の日に先づ摘まん仏の座/蓼太
亡き人へこころ傾く梅真白/川崎俊子
亡き人の声還るとも虎落笛/大橋敦子
外套の厚地よ父も亡き人に/小口雅広
俳句例:21句目～
種池の映せしは亡き人ばかり/佐野美智
藤波の香に亡き人の名をなぞる/石井保
蘖や亡きひと雲にゐるごとし/三森鉄治
亡き人の名をなんとなく筆始/池田澄子
亡き人の声に振り向く萩の寺/松本綾子
亡き人の声を忘れず柿の花/片山由美子
亡き人の琴のそら音や夜半の春/中勘助
亡き人の遺す余寒と思ひけり/橋本榮治
亡き人がわれを忘るる夜の梅/鈴木鷹夫
亡き人の鉢も加はる菊花展/小林千穂子
亡き人と見るべく花の莚かな/清水基吉
亡き人の香水使ふたびに減る/岩田由美
亡き人の鼎に現るる冬日かな/永田耕衣
亡き人を偲ぶ花びらほどの雪/緑川啓子
亡き人に思慕の杖曳き梅日和/高濱年尾
去年今年亡き人夢にまた夢に/橋本榮治
亡き人に美服着せゐて明け易し/齋藤玄
水餅を覗き亡き人吃りけり/吉本伊智朗
亡き人のかたみの珊瑚春あさし/中勘助
亡き人のひとり加はる花筵/ほんだゆき
俳句例:41句目～
泰山木花高く亡き人は無し/渡邊千枝子
亡き人のみがきし廊や夕端居/野本郁子
亡き人の山茶花の句を失念し/成瀬正とし
亡き人語さまざま聞ゆ春豪雨/田川飛旅子
おだまきや亡き人語り山語る/三石千代子
亡き人の恋をうべなふ遅ざくら/橋本榮治
この門標いまは亡き人雪はらふ/福田蓼汀
水貝を噛んでいま亡き人の数/鷲谷七菜子
風鈴の風に亡き人来てをりぬ/つじ加代子
亡き人もゐむ盆寺のかくれんぼ/橋本榮治
亡き人となり花冷えの琴の丈/八牧美喜子
枇杷むけば亡き人の来て一つ剥く/岡本眸
亡き人にとほく衣を更へにけり/藺草慶子
亡き人に仕ふるごとく牡丹焚く/矢島渚男
張り合ひて今は亡き人萩根分/五十嵐郁子
亡き人に肩叩かれぬ衣がへ/久保田万太郎
亡き人のまほろし寒し化粧の間/正岡子規
亡き人の夢よりさめて七変化/成瀬正とし
亡き人の顔のやう蓮咲いてゐる/増田豊子
亡き人を正客にして風炉茶かな/籾山梓月
俳句例:61句目～
亡き人へ年賀の筆をあやまりて/川畑火川
亡き人の数へと星の流れけり/阿波野青畝
目つむれば亡き人がゐる走馬燈/木村世津
秋風や亡き人に問ふことばかり/中嶋秀子
蟹歩き亡き人宛にまだ来る文/波多野爽波
身に沁みる風亡き人の夢も見ず/佐野美智
逃水や亡き人いつもうしろむき/本多静江
雛あられ亡き人いつか忘れゐし/佐野美智
亡き人の小袖も今や土用干し/芭蕉「猿蓑」
屋根替の萱負ふは亡き人ばかり/吉本伊智朗
時雨くる亡き人のことばとも思ふ/石田郷子
亡き人の句に逢ひ閉づる雪夜の書/野澤節子
朴一葉ひと亡きことにゆきあたる/西村和子
いくさとて数ズの亡き人燈籠かな/尾崎迷堂
海に向き山を見て亡き人のこと/林田紀音夫
いまは亡き人とふたりや冬籠/久保田万太郎
亡きひとを木に喩へつつ寒暮かな/友岡子郷
亡き人は在らず名残の霜を踏む/雨宮きぬよ
花茣蓙にまどろみて亡き人に逢ふ/桑野秀子
亡き人の梅花に贈位せられけり/大須賀乙字
俳句例:81句目～
亡き人のガウンを羽織る寒夜かな/西山満寿
亡き人の亡きこと思う障子かな/宇多喜代子
亡き人の振るよ夜明けの風鈴は/殿村菟絲子
亡き人を数ふるに似て数へ日や/鳥居美智子
亡き人は海歩み来よさくらどき/渡邊千枝子
亡き人にあたらぬやうに豆を撒く/大木あまり
花黐に亡き人の室いかになりし/長谷川かな女
かず～の亡き人おもふ蚊遣かな/久保田万太郎
揚雲雀亡きひと増えていくばかり/岡田恵美子
亡き人のものの減りゆく茄子の花/片山由美子
はつきりと亡き人かなし青葉山/北枝「しるしの竿」
亡き人を偲ぶ新内流しかな/山崎ひさを「続百人町」
祭壇に亡き人の眼はほほゑみぬ原色に咲く花にうもれて/松坂広
たばりしは舐む鹽ならず亡き人のその死の穢をふりて浄めと/高橋睦郎
亡き人に添ひもそはずも生きのびて今年三十三回忌忌み骨洗ふ/若山喜志子
