俳句例:201句目～
爽やかに屈托といふもの無しに/高浜虚子
爽やかに明烏をも聞かむとす/相生垣瓜人
爽やかに昨日の川をふりかへれ/落合水尾
月さやか蝦夷を墳墓の地と定め/奥田智久
爽やかに物を忘れてゐるがよき/高木晴子
爽やかに身内の骨のどこか鳴る/横山衣子
痩身の宮司さやかに緋を纒ふ/鳥居美智子
爽やかに酔ひしともなき涙かな/高木晴子
爽やかに顧みるべうこともなし/清崎敏郎
爽やかに黄楊の櫛買ふ池の端/下山田禮子
芙蓉みな萎みぬ星座さやかなり/渡邊水巴
爽やかやわが言立ての詩のとき/大西岩夫
遠野民話聞きゐる両の耳さやか/高澤良一
爽やかやケルンにつどふ風の音/飯村弘海
さはやかや絵の中に添ふ白鸚鵡/吉野義子
爽やかや今日声張りし事ありき/村越化石
爽やかや仏も脚を組みたまひ/片山由美子
峠への終の痩せ坂息さやけし/鷲谷七菜子
爽やかに轆轤の自在見てをりぬ/鈴木真砂女
爽やかな笑みが美術館の前に待つ/京極杜藻
俳句例:221句目～
爽やかな目覚めに朝日賜はりし/吉村ひさ志
やすらへば歩けば風の爽やかに/石川星水女
峯の火のけむらずもゆる爽気かな/飯田蛇笏
秋さやかはなみづひきは荒瀬沿ひ/飯田蛇笏
秋さやか礼をなすとは身を折ること/岡本眸
爽かに降る雨ぬけし田甫かな/長谷川かな女
爽かに着きし人あり越路より/長谷川かな女
爽かに病むやみとりの人もなく/高橋淡路女
爽かに思ひ返して好きになりぬ/波多野爽波
むなしさと爽かさもて目覚めをり/松村蒼石
瀬に入れば四方に波あり爽かな/池内友次郎
常のごと暮れつつどこか爽涼と/古賀まり子
ひと筆を素焼に賭けて爽やかに/鈴木真砂女
鐘さはやか門に到りしとき鳴れり/吉野義子
負ひ目なく生き爽やかに古稀迎ふ/伊東宏晃
赤とんぼまだ恋とげぬ朱さやか/佐野青陽人
棕梠の鉢あり船の書架爽やかに/五十嵐播水
風さやか芭蕉巻葉のゆるみをり/山田みづえ
昆布一丈爽やかに漁婦たもとなし/古館曹人
富士爽やか妻と墓地買ふ誕生日/秋元不死男
俳句例:241句目～
爽やかに投げる枕を受けて寝る/秋元不死男
子のあげを下してやりぬ爽やかに/永井龍男
さはやかにおのが濁りをぬけし鯉/皆吉爽雨
秋爽の地におりたちし身のひとつ/飯田蛇笏
阿蘭陀万才手書きの髭も爽やかに/高澤良一
さはやかに古りし二つの枕かな/小島千架子
雲爽やかキヤベツの高荷人載せて/堀口星眠
翼張つて鳶が舞ひ降る爽気かな/柴田白葉女
耳飾りキラリと爽気身ほとりに/柴田白葉女
さはやかに湯もみはじまる板が鳴る/上村占
健やかにまた爽やかに生きむかな/堀口俊一
訪ふ句碑の爽涼にあることうれし/高木晴子
響爽かいただきますといふ言葉/中村草田男
雲爽涼つぶやきやみし蝉ひとつ/水原秋櫻子
爽やかに意志もつ一葉流れゐる/長谷川秋子
風邪の身を爽気きはだつ谿へ運ぶ/金田咲子
おろしたる籾の居つきの夕さやか/皆吉爽雨
この水は飲めますといふ爽かに/八木林之介
ここに少年期根瘤さやかに秋の椎/古沢太穂
さやけしやまためぐりあふ山のいろ/かもめ
俳句例:261句目～
ドイツに会ふ芭蕉西鶴さはやかや/関森勝夫
爽やかな言葉はいまだ身を発せず/野沢節子
やうやくに得し貸間なり虫さやか/福田清人
爽やかや一児得て髭濃くなれり/木附沢麦青
爽やかに声をそろへて経上ぐる/水上そのえ
御山主の御護摩の修法さやけしや/高木晴子
ブランデーウヰスキーみな爽かや/京極杞陽
水田底の落穂さやかや見てすぐる/西山泊雲
汗さやかに我家を出づる一歩かな/中島月笠
テキーラの酔は爽やかなるが往き/高木晴子
爽やかといふ感じにはすぐ慣れる/加倉井秋を
生れて吾子ときに伸びして爽やかか/宮津昭彦
爽涼の君はいくさを如何に生きし/赤城さかえ
甲矢乙矢爽かなりし当りかな/吉武月二郎句集
目はからだのあかりルカ伝爽やかに/猿山木魂
母子四人笑み爽やかにパスポート/伊藤いと子
爽やかに走り抜けたるゴールかな/山下しげ人
蔓の中に碑は濡れゐたり爽かに/長谷川かな女
越後湯沢に降り立ちしこと爽やかに/細見綾子
爽やかに言へば何でもなきことを/黒米松青子
俳句例:281句目～
夢のあと追うて晴なり爽やかに/阿部みどり女
夜明け爽か「古調かはさき」橋の上/近藤一鴻
草を刈る既に爽涼のひゞき山のべ/中塚一碧樓
いつものことをしてゐて爽やかに/加倉井秋を
放たれし金魚の如くさはやかに/阿部みどり女
さはやかに芙蓉は花を了りけり/久保田万太郎
しづけさにありて爽やかなりしかな/稲畑汀子
格別の「事件」なき日々さやかなり/島守光雄
かかる小さき墓で足る死のさはやかに/岡本眸
爽やかに女将と呼ばれゐたりけり/鈴木真砂女
さはやかに日のさしそむる山路かな/飯田蛇笏
ミシン踏みまた爽やかにミシン踏む/渋沢秀雄
爽やかやたなびくものを身にまとひ/木内怜子
さはやかやテーブルの布めくりたる/金田咲子
さはやかや元湯の噴くを目のあたり/毛塚静枝
爽やかやたてがみを振り尾をさばき/山口誓子
かつて農夫のその日新樹の爽かなり/細谷源二
仔馬爽やか力のいれ処ばかりの身/中村草田男
くづれては瀬をさやかにもしもはしら/飯田蛇笏
サンドイッチ女爽やかに手をのばす/和田耕三郎
