俳句例:101句目～
踏青や嵯峨には多き道しるべ/鈴鹿野風呂
踏青やありて渉りしさゝ流れ/軽部烏帽子
踏青や鎧ひどほしの身をゆるめ/朝倉和江
門開けてあり踏青の人立てり/池内友次郎
青き踏みゆきては遂にあらあらし/齋藤玄
青き踏み卑弥呼の墳と思ひけり/佐川広治
青き踏み地層のなかの貝の層/小檜山繁子
青き踏み池田満寿夫を訪ひにけり/星野椿
飛び降りて踏青の歩を洲に移す/落合水尾
青き踏むどこにも地雷なき青さ/蛯子雷児
いくつもの別れのありて青き踏む/伊藤梢
青き踏むもつとも空に近くをり/新庄八重
かかる里長生きしさう青き踏む/仁科聖鳥
青き踏むブレスレツトを放り投げ/大高翔
この辺明日香野にして青き踏む/八木秋水
青き踏む一遍遊行の地なりけり/高澤良一
ちちははの墓山へ来て青き踏む/嶋田麻紀
ゆるやかに古墳の丸み青き踏む/赤尾恵以
青き踏む分身の杖横抱きに/美濃部多津子
ベルベット裾長く着て青き踏む/京極杞陽
俳句例:121句目～
十字架をわが救ひと見青き踏む/山本歩禅
青き踏み齢をすこし捨ててきし/児玉南草
去年捨てし吾を拾ひに青き踏む/山内山彦
哀憐の日ははろかなり青き踏む/木下夕爾
圓木の搖れやむを見て青き踏む/横光利一
墓参あと吾ら背山に青き踏む/下村ひろし
太平洋見ゆる丘まで青き踏む/尾崎/一子
川音のつつがなき日や青き踏む/澤村昭代
青き踏む毛馬閘門のほとりまで/高濱年尾
青き踏む海の青さも踏みたけれ/鷹羽狩行
青き踏む父をいたはる歩幅にて/岡田安子
青き踏む神話の恋はおほらかに/長谷川翠
心すでに妻とし青き踏みゆけり/松山足羽
青き踏む華僑の娘らに纏足なし/吉岡鳴石
青き踏む身を養ひてふるさとに/近藤一鴻
愛溢れくれば野にでて青き踏む/嶋田麻紀
青き踏んで帰るや門に客の待つ/高田蝶衣
風呂敷の自由なかたち青き踏む/中村路子
颯爽と老いむと願ひ青き踏む/富岡夜詩彦
鴉にも後れて青き踏みにけり/相生垣瓜人
俳句例:141句目～
相模野の青き踏み来て手ぶらかな/高澤良一
青き踏む氷遠なる嶺を見据ゑつつ/小澤克己
踏青ややまのべのみちここにあり/相馬黄枝
踏青やはばたきやすきものまとひ/石田郷子
海見ゆるこゝに住みたく青き踏む/直原玉青
さるほどに空はつきしろ青き踏む/日野草城
子の葬り了へ来し人と青き踏む/赤城さかえ
衣食足るけふのわれあり青き踏む/西島麦南
青き踏む中学にゆく子なりけり/鈴木しげを
青き踏み行きて雲にも乗りたしや/村越化石
こしかたに恋やいくさや青き踏む/山本歩禅
青き踏む円光負へるこころにて/柴田白葉女
一歩とは氷遠への意志や青き踏む/小澤克己
家の妻瞳に描きがたし青き踏む/秋元不死男
女どちいとしあはせに青き踏む/高橋淡路女
ジーンズをはく若さ欲し青き踏む/岩崎照子
青き踏むいのち確かむごとく踏む/石川文子
ふところに母の手紙や青き踏む/大木さつき
青き踏むひとりひとりや人嫌ひ/沼尻巳津子
携へるものに吾子の手青き踏む/上田日差子
俳句例:161句目～
とつくにの子ら眠りをり青き踏む/横光利一
青き踏みゆくしんがりと声つなぎ/清水衣子
加熱炉の照りのゆらめく青き踏む/加藤知世子
青き踏む仔犬のごとき児を連れて/伊藤トキノ
遙かなる出合ひ持ち寄り青き踏む/吉村ひさ志
青き踏む左右の手左右の子にあたへ/加藤楸邨
松葉てふいとしき名の杖青き踏む/平井さち子
青き踏む身ぬちの発条をなだめつつ/小澤克己
午後は小さくなる水溜り青き踏む/猿橋統流子
青き踏むこころは海をゆくごとし/小池万里子
ここで老ゆべし女子大学の青き踏む/楠本憲吉
青き踏むひともけものもやまんばも/仙田洋子
高原文庫出で来てひとり青き踏む/鳥越憲三郎
青き踏み身に添ふ影は躬にひとつ/稲垣きくの
踏青や火を経しものの透きとほる/野見山ひふみ
青き踏む人吸はれ入るチヤーチかな/左右木韋城
青き踏むけふのわれあり明日をしらず/西島麦南
踏青の足袋をぬきたる女かな/深山柴/安藤橡面坊、亀田小ゼン選
