「梅酒」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「梅酒」について
【表記】梅酒
【読み方】うめしゅ
【ローマ字読み】umeshu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・梅焼酎(うめしょうちゅう:umeshochu)
・うめざけ(うめざけ:umezake)
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季節による分類
・「う」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
梅酒を含む俳句例
忘年や醸れて梅酒の真紅/辻桃子
梅酒や神道写本三十年/加藤郁乎
長命寺裏の日盛り梅酒のむ/波郷
夫婦てふ歳月刻む梅焼酎/三木節子
寂然と梅酒の甕を封じけり/村山古郷
やまももの宿の楊梅酒深紅/皆吉爽雨
往診の疲れ直しと梅酒とる/半谷銜山
下町に代々すみて梅酒かな/遠藤為春
冬籠りときに梅酒の酔ごこち/松浦釉
梅酒や老婆が憑きて家久し/古館曹人
卓上に浅間の龍胆と梅酒/成瀬正とし
古梅酒開くや母の墨の文字/武藤勝代
梅酒に身を横たふる松の風/前田普羅
歳月も梅酒の甕も古りしかな/安住敦
封をして梅酒琥珀の月日かな/福田蓼汀
師は癒えむ梅酒一献胸に沁み/細川加賀
梅酒嗜む幾分しのぎよき日なり/及川貞
梅酒喉にしみる茫々たる月日/中島斌雄
わが減らす祖母の宝の梅酒瓶/福永耕二
一日の疲れ直しの梅酒かな/真鍋/蕗径
俳句例:21句目~
梅を貰ひ梅酒を貰ひ水戸一泊/高野素十
其中に梅酒てふもの古りし壺/高濱虚子
古梅酒の封印を解く土用入/石田あき子
梅酒また主と共に古りにけり/秋山万里
梅酒の酔髪の先まで導かる/長谷川秋子
子に送る梅酒は少し甘い目に/四方和美
梅酒飲む波郷を思ひ更に飲む/相馬遷子
梅酒飲んで太宰治を愛しけり/仙田洋子
七十路の恋めく夕べ梅酒のむ/久常多喜子
世の中を梅酒にしづく梅のはて/高橋睦郎
吾が漬けて吾が嗜まむ梅酒かな/大橋敦子
梅酒わくや台風速度増しにつつ/吉野義子
梅酒をかもすと妻は実をおとす/山口青邨
梅酒一口義理人情に責めらるる/村山古郷
梅酒二壺成りつつ琥珀うす琥珀/亀井糸游
梅酒呑む芸人の老哀れとも/長谷川かな女
あれこれと梅酒造りの空壜出す/高澤良一
とろとろと梅酒の琥珀澄み来る/石塚友二
ひとまはり大きく梅酒壜の梅/猪俣千代子
秋深し梅酒を満たす江戸切子/内山由美子
俳句例:41句目~
酔郷も梅酒のそれは仄かなり/相生垣瓜人
医師吾に妻がつくりし梅酒あり/川田長邦
雑用の中に梅酒を作りけり/阿部みどり女
飲み頃と持ち出してくる梅酒瓶/高澤良一
もてなしの梅酒に暑気を払ふべし/櫛橋梅子
ひとり住む暗きに梅酒古りにけり/菖蒲あや
命惜しむ梅酒を徐々に飲み減らし/白石蒼羽
古梅酒をたふとみ嘗むる主かな/松本たかし
わが死後へわが飲む梅酒遺したし/石田波郷
河童忌を昨日に過ごし梅酒減る/佐野まもる
梅酒飲む地獄の沙汰に背を向けて/森田幸子
貯へておのづと古りし梅酒かな/松本たかし
梅酒をたしなみつつも住めるかな/坊城春軒
梅酒の酔団十郎を読みてより/長谷川かな女
雨の日々梅酒色よくなりにけり/鳥越すみ子
鳩時計啼かぬ日もあり梅酒古る/谷村久美子
老貫主梅酒をめでておはしけり/山元無能子
もてなさる梅酒に酔ひて戻りけり/長屋せい子
母のふみ来し日の雨や梅酒漬けむ/星野すま子
真夜もまた梅酒の蓋をしつかりと/岩淵喜代子
俳句例:61句目~
夜航機のうねりが届く梅酒の平穏に/伊丹公子
梅酒ふふめば捨てし妻の座翳るなり/山田みづえ
梅酒と麦飯水が生命のたなご見つつ/磯貝碧蹄館
梅酒とろとろ子に遺すもの何もなく/瀬戸青天城