季語/夜なべ(よなべ)を使った俳句

「夜なべ」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「夜なべ」について

【表記】夜なべ

【読み方】よなべ

【ローマ字読み】yonabe

子季語・関連季語・傍題・類語など

・夜業(やぎょう:yagyo)

・夜仕事(よしごと:yoshigoto)

季節による分類

・「よ」で始まる秋の季語

・「秋の生活」を表す季語

・「晩秋」に分類される季語

月ごとの分類

10月の季語

夜なべを含む俳句例

夜業燈煌々と海へ排水す/右城暮石

隙間多き夜業工場霰溜む/西村公鳳

婢のをりしは昔母夜なべ/大橋敦子

さむしろに機織蟲の夜なべ哉/菊渓

夜仕事に関の孫六打つ火花/近藤一鴻

お会式の飾り桜に夜なべ尼/後藤夜半

足算の帳尻合わず夜なべ妻/中井智子

鳥籠を移し製菓所夜業終ふ/宮武寒々

鉄の冷え八方にあり夜業林/細谷源二

夜業林鉄を曲げたる影太き/細谷源二

首筋に集る疲れ夜なべ終ふ/森口時夫

夜業の火美しく散り水広し/久米正雄

夜業林窓の近くに河くろし/細谷源二

枯野来し水に夜業の手を洗ふ/桂信子

一階夜業三階組合支部会議/鈴木栄子

大空に月を放ちて夜なべ村/富安風生

杉鳴りて電源守る夜業の灯/大島民郎

旅せむと夜業いく夜の裁鋏/桂石裕子

新しきビル全館に夜業の灯/山口恵子

寮母きて夜業織娘にパン配る/鈴木学

俳句例:21句目~

夜業の灯消す鉄粉の暈の中/中島畦雨

妻癒えて励む夜業の釦付け/楡井秀孝

夜業果て運河にそそぐ水細る/宮武寒々

励みても所詮女や夜なべ措く/竹下陶子

葬ひの花輪をつくる夜業の灯/菖蒲あや

夜なべ村猪の寝息の間近かな/久保厚夫

官庁の夜業一人にともせる灯/右城暮石

月さして夜業の鞴青かりき/佐々木肖風

小説も読まずけなげに夜なべ妻/上村占

松風に顔を上げたる夜業かな/岸本尚毅

刻み合ふ時計二つや夜業守る/原田青児

旅近きことの楽しも夜なべ妻/山田弘子

口癖を人に知られし夜業かな/岩田由美

武田絶え闇這ふ峡の夜なべ唄/丸山海道

お向ひの壁が真赤で夜なべ鍛冶/藤木清子

わが古き眼鏡をかけて夜なべ妻/塚本英哉

夜業日々いつまで母に炊ぎさせ/鈴木栄子

夜なべ終へ夕刊ざつと目を通す/高橋笛美

抽斗の一つをはづし来て夜なべ/鳥羽克巳

きはやかに星の一つが散る夜業/細谷源二

俳句例:41句目~

けふよりは外より眺め夜業の灯/長谷川櫂

佐多稲子逝きて夜業の世も遠し/藤田柊車

みな灯し一人の夜業淋しからず/中川秋太

丸ビルの夜業の灯又一つ消ゆ/稲畑廣太郎

夜仕事に籠る合図の咳ひとつ/上田五千石

何もせぬ人を横目に夜業かな/稲畑廣太郎

夕東風の夜業にかかる燈は降し/細谷源二

夜業のパン寝て食う一人の星祭り/穴井太

夜業の炉を焔溢れて交替済む/田川飛旅子

夜業の窓にしやくな銀座の空明り/鶴/彬

夜業終へ出づるや金の把手押し/菖蒲あや

居眠りに稲投げつけて夜業せり/成海/静

工事ビルネットの中に夜業の灯/篠田悦子

手で顔揉み夜業疲れを癒すなり/茂里正治

昇降機来て止まりをり夜業果つ/大枝涓二

機械みな靄を持ちゐる夜業かな/増田龍雨

海べの男酸素工場の夜業で銹びる/穴井太

終電車まだある夜業しまひけり/岩崎健一

脱穀機買ひて夜業をはげみをり/辺田東苑

銀河澄む造船夜業下界のこと/五十嵐播水

俳句例:61句目~

寮の子に送る荷物を夜仕事に/菱田トクエ

ファックスの音なき音や夜業の灯/嶋田麻紀

誰が弾く三味線かかる夜なべ小屋/木村蕪城

糸屑の灯に舞ひあがり夜なべ措く/橋本鶏二

家事も夜業ことりと眠くなる妻よ/香西照雄

戸締をたしかめに下り夜なべ措く/田中伸樹

五分高の賃に惹かれて夜業かな/吉良比呂武

弟子達は吾の片割れ夜なべ終ふ/嶋田摩耶子

ささくれて夜業の指の煌とあり/小島千架子

意気込みのほゞ半分や夜なべ置く/稲畑汀子

どこかで歌夜業終ゆれば雨しきる/古沢太穂

夜なべ妻がたと崩折れ哭きにけり/岸風三楼

まうからぬ夜なべ細工やちちろ虫/森川暁水

鉄の熔の飛び散る夜業あからさま/右城暮石

風呂吹はとろ火にあづけ夜なべ妻/中村金鈴

夜業終ふ気の遠くなる静けさよ/幕内ゆたか

マンシヨンの仕上げを急ぐ夜業の灯/武田光子

夜なべ妻明日と言ふ日のなき如く/小竹由岐子

夜業人に調帯たわたわたわたわす/阿波野青畝

寝し妻の起き来てをりぬ憂き夜なべ/森川暁水

俳句例:81句目~

妻の愚のいきどほろしも憂き夜なべ/森川暁水

夜なべ終ふ時計とまつてをりにけり/古賀対川

夜なべ憂し湿布が喉にかたき日は/鷲谷七菜子

ひとり辞めてひとつ灯らず夜業の灯/加藤覚範

しはぶきのあとの淋しき夜業かな/米澤吾亦紅

いさかひて夜なべ淋しく措きにけり/橋本鶏二

そばにゐるたのしさこめて夜なべ唄/加倉井秋を

すぐやみし地震もさびしや憂き夜なべ/森川暁水

生きることは賑やか夜業散らかって/北原志満子

ものうい通夜の星空へ夜業の煙が黒々とのぼつている/橋本夢道

秋の季語
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