俳句例:101句目～
春炬燵あり赤ちやんこんにちは/西本一都
死を恐れず風邪を恐れて春炬燵/高橋悦男
当りもす春の炬燵をうとみもす/高浜虚子
淋しくもなにもなけれど春炬燵/永井龍男
底の明るさ言葉とならず春炬燵/河野南畦
火を入れぬ春の炬燵の美しき/池上不二子
山地図を展きしままの春炬燵/本郷をさむ
灯を入るるまでは淋しき春炬燵/永井龍男
炬燵まで春浅き日のさしこみぬ/大谷句佛
火を足して人無き春の炬燵かな/京極杞陽
春炬燵あすのもの食ふ夫婦かな/石橋秀野
春炬燵またはじめから桃太郎/吉田花宰相
目つむれば亡き影の寄る春炬燵/老川敏彦
方丈やコード抜きある春炬燵/八木林之介
嫌はれてゐるとも知らず春炬燵/酒井小蔦
春炬燵先師の逸話聞きもらさじ/関森勝夫
自句自解させられてをる春炬燵/茨木和生
薬にがし人はなつかし春炬燵/文挟夫佐恵
虚子は妻を詠はざりしよ春炬燵/矢島渚男
春炬燵癒えて少女のごとくなり/石原舟月
俳句例:121句目～
行く春を熱き炬燵にゐて祖母よ/依光陽子
嫁ぐ娘のなほ吾が翼下春炬燵/松尾ふみを
かくれんぼ入れてふくらむ春炬燵/八染藍子
この年にまだ字が書けて春炬燵/五十嵐播水
しまはずに置いてよかりし春炬燵/稲畑汀子
たかどのにただある春の炬燵かな/飯田蛇笏
だく乳児の手をもにぎりて春炬燵/飯田蛇笏
ひびの手を父にはかくし春炬燵/伊藤いと子
まどろみて覚めて愛居の春炬燵/成瀬正とし
もらい泣きして春炬燵あつすぎる/池田澄子
よみ書きのまだまだ春の炬燵の上/皆吉爽雨
ちよつと外へ出て戻りたる春炬燵/高濱年尾
屋根越しにマストのゆきき春炬燵/原田青児
春炬燵上げてうろうろしてゐたり/棚山波朗
春炬燵伏したる酔ひをとがめんや/飯田蛇笏
裏の土手からはまる見え春炬燵/山口いさを
尼にひきとめられてゐて春炬燵/田畑美穂女
まだぬくき春の炬燵にだれもゐず/長谷川櫂
ぜいたくは今夜かぎりの春炬燵/久保田万太郎
妻亡くせるばかりの春の炬燵かな/鈴木真砂女
俳句例:141句目～
故郷捨てて捨てられしごと春炬燵/鳥居美智子
