俳句例:101句目～
亀鳴くといへるこころをのぞきゐる/森澄雄
亀鳴くとたばかりならぬ月夜かな/富田木歩
亀鳴くや掴みそこねし運の果て/鈴木真砂女
亀鳴くや花は剪られて捨てられて/田中裕明
亀鳴くや忘るるための酒利かず/成瀬桜桃子
亀鳴くや母を憶へばきりがなく/中島木曽子
亀鳴くを塞ぎの虫の聞き知れり/相生垣瓜人
亀鳴くを聴くとておかしからぬ齢/高澤良一
亀鳴くを鬱ぎの虫の聞き知れり/相生垣瓜人
亀鳴けりやうやう主旨が伝はりて/高澤良一
湯が水にもどる一夜の亀鳴けり/鳥居美智子
亀鳴くや昨日のまこと今日の嘘/櫛原希伊子
亀鳴くや掌にころがして煙管の火/永井龍男
亀鳴くや枇杷男氏と又すれ違ひ/河原枇杷男
亀鳴くと言ひ切りし舌うしろめた/後藤綾子
亀鳴けり空にぽっかり穴がある/本田ひとみ
亀鳴くか鳴かぬか鳴けり餓鬼阿修羅/今瀬剛一
亀鳴くといへばやさしき遠目せり/小檜山繁子
亀鳴くや死しても墓のせめぎあひ/稲垣きくの
亀鳴くや独りとなれば意地も抜け/鈴木真砂女
俳句例:121句目～
空耳に亀鳴くときく夜もありて/坊城としあつ
亀鳴くと句碑の裏側のぞきゆく/長谷川かな女
亀鳴くとどうでもいいこと信じたし/渡辺恭子
亀鳴くやをとこの思考もつをんな/小林しづ子
「亀鳴く」と書けば亀鳴くことになる/北川邦陽
夜を着きしふるさとは亀鳴きにけり/成瀬桜桃子
亀鳴くと言ひふらしつつ老いにけり/亀田虎童子
