季語/萱(かや)を使った俳句

「萱」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「萱」について

【表記】萱

【読み方】かや

【ローマ字読み】kaya__

子季語・関連季語・傍題・類語など

・萱の穂(かやのほ:kayanoho)

・萱原(かやはら:kayahara)

季節による分類

・「か」で始まる秋の季語

・「秋の植物」を表す季語

・「晩秋」に分類される季語

月ごとの分類

10月の季語

萱を含む俳句例

白樺やのこる古雪萱の中/誓子

萱原の中直通の電話線/茨木和生

馬繋げ新茶かをらす萱が軒/蝶夢

萱草に立つ浪音や桂浜/高木晴子

萱負せ牧より帰す牧の牛/原柯城

鶯や礁へ落とす萱の径/富安風生

萱山の巌を鷹の栖とす/橋本鶏二

年神の来て萱葺の軒雫/山本洋子

七月や萱は切先豊かにて/上野燎

日と風と大石橋を萱車/成田千空

萱山に濃き影落し薬掘る/皆川盤水

萱の穂の稚き月を眉の上/加藤楸邨

湯煙に人現るゝ時萱草も/高浜虚子

濤音の萱にはずみて明治節/齋藤玄

萱堂に雨声鐘声秋の蝉/百合山羽公

焼山の白き道ゆく萱負女/丸山海道

萱の朱一すぢ走る炭俵/丸山しげる

萱草や林はづれに牧師館/友岡子郷

萱草に雷遠き日かげかな/子規句集

秋の日や萱に道ある山畑/尾崎迷堂

俳句例:21句目~

サイダーや萱山颯と吹き白み/董糸

脚長の足早に蹤き野萱草/野澤節子

萱編めり離村を前の墓囲/三嶋隆英

七夕の雨しとどなり萱草/堀口星眠

萱の穂を訪ひゆくも旅の袖/齋藤玄

本堂の床下くゞり萱運ぶ/高浜虚子

人声は灘より起る萱の絮/木村蕪城

兵の幾人かくす萱一本/宇多喜代子

萱を負ひ雀色時おし黙る/山口誓子

萱原の笹原続き二月かな/尾崎迷堂

蝶々や日中滲める萱の茎/中島月笠

萱鳰があり粟鳰も稗鳰も/橋本鶏二

合掌の一集落の萱を干す/杉浦東雲

塊を擡げて萱の総芽立ち/西山泊雲

耶蘇祀り摘草峠野萱草/小原菁々子

生涯の淋しき醜女萱を負ふ/橋本鶏二

萱垣の千の筋目の日に産屋/成田千空

秋風や道の辺の萱震ひ立ち/松藤夏山

一樹なき萱山燦と二月果つ/村上光子

三月や茜さしたる萱の山/芥川龍之介

俳句例:41句目~

霧籠めの一夜を厚き萱の簷/栗生純夫

金色に萱立てかけし馬の墓/村越化石

寒晴の谷戸は萱山開きかな/皆川白陀

萱草やこゝに芽をふく忘草/子規句集

萱草の影澄む水を田に灌ぐ/西島麦南

萱わけて馬の来てをる泉かな/秋櫻子

鎌鼬萱負ふ人の倒れけり/水原秋桜子

雪霞野の萱骨のとげとげし/臼田亞浪

老鶯や萱の中なる薪の棚/大橋櫻坡子

心飛ぶ萱の新穂の波に乗り/細見綾子

萱茸の厚さの涼や囲炉裏酒/石川桂郎

萱背負ひ礁づたひに老の腰/岸風三樓

肩胛骨双つあらわに萱を抱く/渋谷道

萱束にもたれ葺替ひと休み/石田勝彦

萱廂いつまで雫る夕とんぼ/林原耒井

霙るるや猟夫踏み来る水辺萱/金子潮

萱原の日に埋もれて薬掘る/木村蕪城

鼠穴天には荒れる萱ばかり/安井浩司

大寒の牛鳴いてゐる萱の中/飯田龍太

萱山の巌に鷹の舞ひ下りぬ/橋本鶏二

俳句例:61句目~

水鳥のたちぬ提灯萱に照る/清原枴童

河音の未だにこもる萱焚火/栗生純夫

萱草や浅間をかくすちぎれ雲/寺田寅彦

萱負うて束ね髪濃き山処女/星野麦丘人

おのづから急流に触れ萱育つ/廣瀬直人

萱負ふて束ね髪濃き山処女/星野麦丘人

萱負へば音の変りし夕あられ/藤原如水

遠雷や萱わけて人出できたる/木下夕爾

邯鄲の縷々と翳抱く萱ばかり/山口草堂

野火移りゆくに遅速の萱の丈/稲畑汀子

野蒜野萱草大荷物山家に入る/金子皆子

雉子啼くや茶屋より見ゆる萱の中/蓑立

霧にふれ萱の白緑暁けきりぬ/下村槐太

風除けの萱にはりつく浜の砂/宮下邦夫

高原涼し靄の刻すぎ朝日の萱/古沢太穂

初茸のあかときいろに萱の苞/古舘曹人

十年ののちのわが子と萱の丈/飯田龍太

古萱の丈おそろしき柳絮かな/石田勝彦

吊橋は低くはあらず萱負うて/下村梅子

墓詣むしりし萱の芽立ちゐる/松藤夏山

俳句例:81句目~

夕月の山をうしろに萱負うて/橋本鶏二

夜を籠めて萱の葺面もがり笛/高澤良一

径どれも萱原へ外れけもの径/千田一路

日の萱に逃避の我や笹鳴ける/相馬遷子

湯治場や黄なる萱草得て帰る/正岡子規

白露や家こぼちたる萱のうへ/蕪村遺稿

笹鳴に逢ふさびしさも萱の原/加藤楸邨

老いぼれて菊より萱の枕よし/後藤綾子

荒壁に萱の束をば立てかけし/大石暁座

萱かつぎ閉せる家に戻りけり/松藤夏山

萱の日や薄煙上げし馬糞茸/島村元句集

煙しみるなじみの小みち萱車/成田千空

萱の芽を見たり地獄の鳴るほとり/楸邨

萱を積む馬とゆくえを同じうす/渋谷道

萱一駄負ひ大風を負うて来る/米田一穂

萱傷に少し旅情のごときもの/岩岡中正

萱厚く氷室を葺きて白蛾湧く/吉田紫乃

萱原にちん~ちろり風がふく/寺田寅彦

萱原のしら~明けて馬の市/長谷川素逝

萱原やぬるでの紅葉風に照る/高田蝶衣