季語/虫(むし)を使った俳句

「虫」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「虫」について

【表記】虫

【読み方】むし

【ローマ字読み】mushi

子季語・関連季語・傍題・類語など

・虫の声(むしのこえ:mushinokoe)

・虫の音(むしのね:mushinone)

・虫すだく(むしすだく:mushisudaku)

・虫時雨(むししぐれ:mushishigure)

・虫聞(むしきき:mushikiki)

季節による分類

・「む」で始まる秋の季語

・「秋の動物」を表す季語

・「三秋」に分類される季語

月ごとの分類

8月の季語

9月の季語

10月の季語

虫を含む俳句例

暁や雨も頻に虫の声/暁台

松虫や礒山陰を暮廻す/浪化

盆過て宵闇暗し虫の声/芭蕉

名月や舟虫走る石の上/桃隣

故郷も隣長屋か虫の声/其角

松虫や灯火青き西の対/弄我

声冴ゆる虫は何々銅盥/白雄

簟髪切虫のばたと来る/虚子

床闇し俄虚虫今朝の冬/調古

宵過や虫売通る町外れ/桃隣

虫遠近病む夜ぞ静なる心/漱石

綿虫がとぶ青雲の志/辻田克巳

兜虫恍惚として物掴む/中田剛

生々と角の感触兜虫/川崎展宏

虫送り闇一本の雄物川/久保龍

兜虫黙すは力蓄ふか/橋本住夫

菜畠や二葉の中の虫の声/尚白

道一つ耳は二つの虫時雨/林翔

兜虫耳が翼の少年期/伊藤敬子

虫喰の木佛尊し日雷/山本洋子

俳句例:21句目~

草刈の笛暮はてゝ虫の声/也有

元禄の長者番附虫払/小松月尚

綿虫を見失ひまた何失ふ/林翔

蝕みし虫も殻なり涅槃像/風来

隅々や稲虫除の護符/寺田寅彦

戸隠の禰宜兜虫闘はす/森田峠

燈明や禽獣虫夜の秋/川崎展宏

皆光る雨夜の星や虫の声/野坡

婚近き青年兜虫拾ふ/沢木欣一

売家や猫も杓子も虫の声/支考

一番に恙の虫を夕禊/松瀬青々

秋天に高く~と虫柱/高木晴子

松虫や兎の道の茂りあふ/野狂

綿虫や安静時間緩やかに/波郷

舟虫や石に纜動く毎/西山泊雲

何の事米搗虫の空おどり/篠原

枕辺に夜の水賜る虫襖/斎藤玄

松虫と後先になる鼾かな/車来

夏草は虫の日傘よ雨傘よ/野良

虫の闇大黒柱孤独なり/澁谷道

俳句例:41句目~

迎ふ声追ひ縋る声松虫は/林翔

山家鳥虫歌の情砧かな/龍岡晋

兜虫母は兜が嫌ひなる/楠節子

農道は松虫寺へ青嵐/大木一巨

白毫寺村へ一筋残る虫/岸田稚

電灯を傾け探す油虫/右城暮石

六億年前も汝は油虫/辻田克巳

虫啼や河内通ひの小提灯/蕪村

吾は何を髪切虫は角誇る/林翔

虫ぼしや片山里の松節/炭太祇

春水の中の虫螻蛄皆可愛/茅舎

夕波の畳む岬や轡虫/風間/淑

かちととぶ髪切虫や茂中/虚子

栗に栗虫人間に人間虫/矢島渚男

水注いで甕の深さや虫時雨/龍男

躓くや磴のぼる露の虫/小林康治

血戦の終は兜を残す虫/岡田史乃

船すでに錆の一塊昼の虫/岡本眸

栗虫の糸吐く空や日の盛り/乙字

わが裸草木虫幽くあり/藤田湘子

俳句例:61句目~

杣の子の掌中の珠兜虫/末氷てる

経堂を出て階や晝の虫/石井露月

涅槃衣も衣箪笥や虫払/喜谷六花

折々や藻に啼く虫の声沈む/闌更

経堂を出て階や昼の虫/石井露月

行とゞく春の日影や虫の穴/闌更

兜虫戦ふ幹や木下闇/東洋城千句

綿虫の漂ふ月日風鶴忌/小林康治

舟虫の猜ひ深き日本海/山口誓子

長持の奈落の衣や虫払/籾山柑子

湖の波禽獣虫秋に入る/川崎展宏

長櫃や昔虫食ふ秋の風/野村喜舟

弾痕も九十年や虫の声/坊城中子

一切株に一円空昼の虫/安東次男

その奥の闇の濃淡虫時雨/成井侃

榛青葉越の国人農の虫/宮坂静生

冬庭や月もいとなる虫の吟/芭蕉

秋風や喜び飛べる露の虫/原月舟

青北風や萬屍想はす虫一屍/林翔

行水の捨どころなき虫の声/鬼貫

俳句例:81句目~

日曜日舟虫奔る焼津港/高澤良一

兜虫よぎりて沼へ暁の風/籏こと

生れつく草の青みや秋の虫/文鳥

人声にすぐ黙る虫虫供養/河本和

点睛の瞳を穿つ栗の虫/照井/翠

下駄箱に一夜預り兜虫/中西舗土

虫遠音刻々月下美人解け/及川貞

綿虫や露坐の仏の厚瞼/石川文子

草原を一帆走の捕虫網/斎藤道子

綿虫がとぶ御岳とわが間/原田喬

陽だまりを虫がころげる/山頭火

秋風や酒で殺める腹の虫/穴井太

虫の鳴隅隅暗し石灯籠/正岡子規

炎天に蓼食ふ虫の機嫌かな/一茶

綿虫に体育館の扉あり/山尾玉藻

箒持ち寒山拾得虫狩に/児玉信子

虫送る松明畦に叩きつけ/森靖子

捕虫網産土の森一漁り/高澤良一

虫魂或は鈴の如からん/室生犀星

松虫や風の吹く夜は土の中/巣兆