俳句例:101句目～
山頂の神守りて貼る障子かな/大峯あきら
障子張るその幸せに気が付かず/細田伸子
張りかへた障子のなかの一人/種田山頭火
張り替へて良夜障子の花紋透く/茂里正治
鶏頭をうしろにたちゐ障子張る/皆吉爽雨
貼り替へし障子の内の早寝かな/新美京子
障子張るや高鳴る渓を眼な下に/林原耒井
時に刷毛刃物をくはへ障子貼/内野たくま
暇あるときの仕事の障子貼る/下村ひろし
月を待つ如く貼り終へたる障子/今瀬剛一
来客にことわり障子貼り終る/的野冷壷人
貼り了へし障子の内に坐りけり/志水圭志
貼り代へて障子淡青よそよそし/香西照雄
白障子張り巡らせて千代紙屋/堀之内和子
障子貼り手伝ひもして長湯治/曾我部笑子
障子貼り替えて貯えあるごとし/桜井柳城
障子貼り替へむこころのアトリエも/林翔
障子貼り終へたる白に母を恋ふ/三輪満子
貼り替へし障子に早き夜露かな/中村汀女
障子貼るのべたる紙は無韻の詩/井沢正江
俳句例:121句目～
カナリヤの箱の障子も貼りやりぬ/野村喜舟
障子貼つて蒼きひかりの中の妻/青柳志解樹
けふ貼りし障子に近く墨を摺る/山口波津女
こんにゃくの如く生きいて障子貼る/穴井太
はるばると障子を貼りに赤穂より/有馬朗人
灯ともせば切貼り目立つ障子かな/吉屋信子
病む妻に障子貼りつつことばかな/森川暁水
ほぎの燈をかかぐと老の障子貼り/栗生純夫
よべの月おもひいでつつ障子張る/後藤夜半
来客や貼りかけ障子縁に出す/阿部みどり女
障子貼る妻との会話さかのぼる/軽部烏頭子
障子貼る嵯峨のもみぢ葉貼りこめて/及川貞
病みて障子貼る間もあらず子を迎ふ/及川貞
障子貼る我が家の七つのお祝ひに/工藤克巳
張りかへし障子に今日は後の月/高橋淡路女
貼り終へし障子が包む家庭の灯/成瀬正とし
手伝ひの吾子が邪魔なり障子貼る/白根純子
手伝ふというてきかぬ子障子貼る/稲本英子
障子貼る日の遠山の照りくもり/猿橋統流子
張れざりし障子も嵌めて夜の長さ/下村槐太
俳句例:141句目～
次なる子はやも宿して障子貼る/波多野爽波
死に得るや障子貼りたるその中に/萩原麦草
障子貼る母の手いつもどこかに傷/宮坂静生
障子貼り子にやはらかく家匂へ/殿村菟絲子
海に月障子貼つたるばかりなり/佐野まもる
障子貼る猿その五指をうづうづと/鈴木栄子
貼り替を障子も待てり見るたびに/右城暮石
貼り残したる障子あり熟睡する/山口波津女
障子貼つてその明るさに誰も居らぬ/塘柊風
路地深く住みつく障子貼りにけり/小島延介
障子貼り替へたる夢の明るさは/岡部名保子
遺されて幾たび障子貼り替える/中島登美子
貼りかへし障子が老をいざなへり/長谷川双
貼り替へて障子に桟のなきところ/河野静雲
障子張りて父を囲ひてしまひけり/関戸靖子
障子張りにはか落葉に捲かれたり/太田鴻村
障子貼つて一生の透く日和かな/鷲谷七菜子
風添ひて傲れる萩に障子貼る/阿部みどり女
骨傷む障子いたはり貼りにけり/松本たかし
紅葉貼リこめし障子に夜の瀬音/深見けん二
俳句例:161句目～
貼り替へし障子とわかる白さかな/稲畑汀子
障子貼ることもまだせず何もせず/高木晴子
貼り替へし障子に凜と夜気のあり/岡田和子
障子貼つて古紙焚けば暮るるかな/加納流笳
障子貼るのりによごれて夫婦かな/森川暁水
白に敏き肌や障子を貼りし夜は/櫛原希伊子
貼りかへるまでの障子を小づくろひ/下村梅子
貼り替へし障子の内に一ト間あり/池内たけし
雨の日は阿弥陀のそばに障子貼れ/大峯あきら
不器用をかくすすべなし障子貼る/衣巻新風子
今日こそは今日こそはと今日障子貼る/及川貞
太鼓のように障子を張って山を出ず/石田三省
妻のきらふけらが鳴くなり障子貼る/森川暁水
障子良く張れて夜更ししてしまふ/北見さとる
うつしみをいとほしみ張る障子かな/西島麦南
柚子黄ばみ障子貼る日となりにけり/田中冬二
死のこと少し思う障子を張り終えて/寺井谷子
水の如きしづけさ湧きつ障子貼る/馬場移公子
縁に日のさし来る障子貼りにけり/鈴木真砂女
貼りかへし障子に雨の昨日今日/阿部みどり女
俳句例:181句目～
逃げゆく陽障子さかさに貼りすすむ/宮坂静生
納戸神貼りし障子もつぎはぎに/山野邊としを
障子貼る身をいとひつつ日もすがら/飯田蛇笏
障子張るやわがいくとせに子等虚し/松村蒼石
障子貼り終りのころは暮れかかる/山口波津女
短日の貼れてしまひし障子かな/久保田万太郎
障子貼る、筧は水を吐きやめず/久保田万太郎
障子貼るうしろ暮れ来し思ひかな/澤村/芳翠
蚤に泣く子等や障子を張りいそぐ/石橋辰之助
障子貼つて湖よりのこゑひびきけり/山口草堂
ひとりの昼餉障子貼るべく急ぎをり/殿村莵絲子
マンシヨンの二枚の障子貼りにけり/山崎ひさを
瀬の音をきゝつゝ貼りし障子かな/久保田万太郎
障子貼るひとり刃のあるものつかひ/橋本多佳子
くらしとはときに障子を貼ることも/鈴木真砂女
ふるさとを恋ふこともなく障子貼る/阿部みどり女
障子貼つて月のなき夜のしづかなり/久保田万太郎
障子貼って月のなき夜のしづかなり/久保田万太郎
障子張り替へた夕ベの小ざかなせせつてゐる/大橋裸木
