俳句例:201句目～
冬帽のをとこの真顔みたりけり/柴田白葉女
冬帽のどれかぶりても似合ひけり/庄中健吉
亡き夫のお洒落でありし冬帽子/今井つる女
豹の冬帽子ひとりにしてほしき/赤松ケイ子
飛ぶ鳥とならめ冬帽もう要らぬ/櫛原希伊子
あとさきに来て掛け並べ冬帽子/深見けん二
研究といふ逃げみちや冬帽子/鍵和田ゆう子
「鉄道員」を観て冬帽を目深にす/石川文子
師来ませり去年とおんなじ冬帽に/茂里正治
毛糸帽うるさくなりて取りにけり/高澤良一
獣追ふごとく飛びたる冬帽追ふ/猪俣千代子
毛糸帽わが行く影ぞおもしろき/水原秋櫻子
ヘッドライトが狙う冬帽他国の橋/寺田京子
風に盗られし冬帽耳があかるくなる/穴井太
冬帽買う死なず癒えざりさりげなく/寺田京子
また逃げし運を追ふ目や冬帽子/久保田万太郎
忘られし冬帽きのふもけふも黒し/橋本多佳子
雨の冬帽置くその人をかこむ夜なり/古沢太穂
冬帽子はぐれざらむと派手にせり/八牧美喜子
西田幾多郎のごとく冬帽掛かりいたり/橋間石
俳句例:221句目～
冬帽子脱ぎ置けば灯にあたたまる/上野さち子
また冬帽を掴むやだらんと思考もなく/細谷源二
人を責めて来し冬帽を卓におく/赤城さかえ句集
冬帽を被るやプロレタリヤの時間生きてくる/橋本夢道
老體といわれたしこりが消えない冬帽かぶつて出る/吉岡禅寺洞
